ランドビルドファーム/サムライガーリック「相馬野馬追」に根差す文化を新たな浪江町の起爆剤に

千年続く伝統行事の本質を現在的かつ国際的なコンテンツに昇華、産業と観光の両面のニーズにリーチするアイテムとプラットフォームを提案。

『ランドビルドファーム』の根幹を担う存在である馬の世話も吉田さんの大切な時間。「相馬野馬追」では武者を乗せて華やかに駆け巡る

ランドビルドファーム/サムライガーリック

馬とともに、田畑とともに生きる侍たちの文化を活かす

本格的な甲冑を身につけ、真のサムライを体感できる「甲冑着付け体験」がインバウンドでも大人気。一領20㎏もある甲冑を、着付け師の方が着せてくれる

相馬野馬追という神事が、単なるイベントとしてではなく人生の中心に座す人々がいます。現代に生きる侍たちが取り組む、世界を視野に入れたユニークな農業。その立役者が、『株式会社ランドビルドファーム』の吉田さやかさんです。
浪江町の農家に生まれ、幼い頃から家業の農業や地域の伝統に親しんで育った吉田さん。先祖代々、相馬野馬追の重要な一角を担う騎馬武者でもあり、吉田さんも弟たちとともに女性騎馬武者として戦場を駆けた経験を有しています。しかし、2011年の震災によって長い避難生活に。常に吉田さんの心にあったのは、「帰りたい」という思いでした。2017年、解除区域に一時移住。2023年には生まれ育った家のあるエリアが特定再生復興拠点として避難解除されたことを受け、明治4年築の家をリノベーションし、2020年に立ち上げた『ランドビルドファーム』のプラットフォームを作りあげたのです。新たな美しさを得た空間は、「和坐-waza-」。甲冑の着付体験やワークショップ、各ツアーのサポートなどさまざまな体験が可能で、後述する「ユニークな農業」の成果を味わう場としても人気です。

「和坐-waza-」の重厚な造り、あちこちに配された歴史的な書画や器、美術も見ごたえ十分
吉田さんのご先祖さまたちの写真。代々続く農家であり、相馬野馬追を支え続ける一族であることが伝わる
150年以上を経た屋敷の庭園には立派な錦鯉の泳ぐ池も。屋敷の内外をぐるりと巡ると、さまざまな発見がある

侍の魂を宿した「サムライガーリック」

「サムライガーリック」の品種は「ニューホワイト六片」。相双地区では昔から、侍たちの活力としてニンニクが栽培されてきた

「故郷のために、自分にできることは何か」——その答えが、培ってきたビジネス視点と故郷の資源を掛け合わせた新しい農業への挑戦でした。『ランドビルドファーム』の主要作物は、その名も「サムライガーリック」。浪江町を含む相馬地方に千年以上続く伝統祭事・相馬野馬追の精神が込められています。相馬野馬追は、今なお生きた「侍」の文化が息づく伝統行事。合戦のない時期には田畑を耕し、合戦のその日に向けて馬を育成し、備える。吉田さんはこの地域資源である馬の堆肥に着目し、循環型農業に利用することで、新たなブランドを確立しました。馬の堆肥は水捌けがよく、保肥力に優れているため、ニンニク栽培に最適なのです。この豊かな土で育ったニンニクは、雑味がなく、ガツンとした力強い風味と甘みが特徴。「和坐-waza-」では、このサムライガーリックで楽しむ常磐ものの鰹など、騎馬武者の一族に伝わる伝統料理なども提案しています。
「サムライが守る伝統を、ニンニクという形で食卓へ届ける」。そんなストーリーが国内外で評価され、今や有名レストランのシェフたちからも指名されるブランド野菜へと成長しているのです。

若手のプレイヤーが少なくなっていた相双地区の農業。吉田さんたち若い世代の就農により、地域の活性化が始まっている
「常磐もの」の魚介類に「サムライガーリック」の黒ニンニクを合わせて味わう提案。平目やカレイといった白身魚、「勝ち魚」の鰹、イカやメヒカリなど四季折々種々多彩
「サムライガーリック」の黒ニンニクをアクセントにしたバスクチーズケーキ。フルーティで旨み濃厚な黒ニンニクはお菓子にも活躍
サムライガーリックの「黒ニンニク」(120g・1980円)、「生ニンニク」(1個・440円~)、「クラフトコーラシロップ」(150ml・3850円)

ランドビルドファーム
吉田さやかさん

浪江町生まれ。東日本大震災を機に起業し、インバウンド向けのアクティビティ事業「Be a Samurai-和坐」を展開。2021年に就農しサムライガーリックを栽培。

ランドビルドファーム(サムライガーリック・和坐-waza-)

  • 住所福島県双葉郡浪江町大字室原字北町尻3番地
  • 電話0240-35-5227
  • アクセス常磐自動車道 浪江ICから車で約3分

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