とみおかワインドメーヌ海風を浴びて育つワイン

太平洋に臨む最初の葡萄畑 整備時、まだ町は無人だった

ワインとはまったく無関係の仕事に携わる一人の人間が、ワイナリー設立を夢見ていました。その夢は震災を経て実現への道を歩み始め、正真正銘のとみおかワインがまもなく生まれようとしています。

@とみおかワインドメーヌ
富岡町小浜438−1

津波の跡地を逆転の発想で有効活用するストーリー

とみおかワインドメーヌ

無人の町で始めた葡萄づくり

常磐線の線路脇に残る津波に耐えた蔵。蔵をシンボルとし、隣りに醸造所を建設する計画がスタート。

青い海原が目前に広がる第一号の葡萄畑。海までは130メートル。心地いい潮風が吹き抜けます。とみおかワインの醸造の第一歩はここから始まりました。

「海風があるので高温障害もないし、潮から植物が身を守る防御反応を示すことでむしろ品質が上がるんです」とワイン製造の統括リーダー。このスタッフも、とみおかワインドメーヌの代表・遠藤秀文さんが呼び寄せた、山梨県でワイン造りの経験を積んだプロフェッショナルな人材です。

2011年、原発事故により震災発生2日目には全町避難。遠藤さんは無人の町を見て、町が消えてしまうような気がしたといいます。そんな危機感もあり、2016年ワイナリーを夢見て葡萄づくりに着手。試験醸造を山梨県のワイナリーに委託しました。

3シーズン目の葡萄品種をシャルドネにしたワインを飲んだ時、「これはいけるかもしれない」と手応えを得たといいます。

醸造所建設と本格的なワイン作りに向けて

震災時、常磐線富岡駅近くにあった遠藤さんの自宅は津波で流されてしまいます。沿岸部の災害危険区域に指定され、住宅など居住・宿泊を伴う施設を新たに建てることはできなくなりました。

「完成して6か月の初めてのマイホームと築150年以上の母屋は流されてしまったのですが、なぜか蔵だけが残ったんです。蔵をシンボルにして醸造所をつくることにしました。駅から葡萄畑が広がりそこを抜けると蔵と醸造所があるようなイメージです」

遠藤さんは2023年1月、ワインの新会社「ふたばラレス」を設立。ワイナリー開業は25年春を予定。この土地から食と人の新たな輪が生まれようとしています。

シーズンによって苗植え、除草、収穫などの体験ができるボランティアを募集しており、また、圃場の見学なども受け入れているので、とみおかワインづくりのチャレンジを体感することができます。

とみおかワインドメーヌ
代表理事 遠藤秀文

仕事で海外のプロジェクトに関わっていたので、富岡町に戻ったのは35歳の時です。戻るにあたってここに何があればいいかと考えた時、ワイナリーが思い浮かびました。町の住人が豊かな気持ちになるし、観光資源にもなる。ただ農地が手に入れられず保留にしていました。その後震災となり、町に戻ってくる人も少ない。今でも1万6000人のうち、戻ってきた町民は900人ほどです。町の農地も荒れてくる。でも逆に土地は確保しやすかった。無人の町に通って準備を進めたんです

とみおかワインドメーヌ

  • 住所富岡町小浜438−1
  • アクセス車でお越しの場合:
    常磐自動車道「富岡インターチェンジ(IC)」より約12分
    電車でお越しの場合:
    JR常磐線 富岡駅よりタクシーで約3分
    詳しくは:
    公式サイトのアクセスページから
    https://tomioka-wine.com/access

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