- 海の恵みと復興を知るふくしま旅
- いわき震災伝承みらい館 被災者の体験に学ぶ
津波によって多くの命が失われたいわき市。その被害の実態を未来に継承する博物館です。同じ悲しみを繰り返さないために、まだ私たちが学ぶべきことはたくさんあります。
被災者の経験を追体験することで災害に備える
いわき震災伝承みらい館
遺留品が無言で語るあの時
津波で甚大な被害を受けたいわき市。そこで得た教訓を後世に伝え継ぐために設立されました。いわきの沿岸を襲った津波の被害状況、被災前と被災後の町の様子を伝えるパネル展示や映像、また津波の遺留品や被害を示す資料を多数収集・展示しています。津波の第二波が到達した3時半のまま止まっている時計等、被災した中学校の備品の数々は、特に重い印象を残します。
「大きな堤防を超える津波の第二波がいっぺんに押し寄せ、一瞬でこの町をなぎ払った証です」と館長の高田悟さん。
「奇跡のピアノ」と説明書きに書かれたピアノは、津波にさらされ鍵盤を押しても微かな音しか出ない状態のピアノを修理で甦らせたもの。かつて旧豊間中学校の体育館の新築を祝して贈られたピアノでした。市内のピアノ店の店主が修復に挑み、12月に修理を終え、2011年の紅白歌合戦で紹介・演奏されました。
語り部の言葉に耳を傾ける
この館の特徴の一つは、被災した地元の人からその体験を直接聞くことができる「語り部」の存在です。いわき語り部の会の会長・大谷慶一さんは「体験談を語るなかで自然に言葉が強くなることもあります。でも津波は恐ろしいということを伝えたい。むしろ、『怖い』という印象をあえて残したいんです」と言います。
生き残った被災者が語る津波の恐怖や助けられなかった命への後悔。そうした被災者の思いを直に聞くと、瓦礫がきれいに片づき新たに整備された沿岸の風景がまた違ったものとして見えてきます。
いわき語り部の会
会長 大谷慶一
私の最大の間違いは津波を浜まで見に行ってしまったことです。浜に出てみると、ほぼ水平線まで海の底が見えた。一目散に逃げ戻り、神社の石段を10段ほど駆け登って振り返った時、そこに流されてきた家がありました。浜から石段まで200メートルの距離に14分もかかっている。その間の記憶がないんです。おそらく、逃げろ!と声かけしながら戻ったのでしょう。340世帯の家が流されてしまったのは、自然災害ですから仕方ない部分もある。ただ、問題は116人もの犠牲者が出てしまったことです。どこかに油断があったのかもしれません。
いわき震災伝承みらい館
- 住所いわき市薄磯3丁目11
- アクセス車でお越しの場合:
常磐自動車道 いわき中央ICから約30分
タクシーでお越しの場合:
JRいわき駅南口から約25分
詳しくは:
公式サイトのアクセスページへ
https://memorial-iwaki.com/information - 営業時間開館:
9:00 ~ 17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始 - 入館料無料
- 語り部講話毎週土日・祝日の10:30と14:00から(最新の予定はウェブサイトで要確認)