YONOMORI DENIMふるさとの復興とアップサイクルとを両輪に

被災地の復興状況の発信と産業の創出、環境問題と向き合うアップサイクルをひとつのラインで結ぶ取り組みに注目しましょう。

廃棄前提のデニムを買い付け、オリジナルの洗剤で洗い新たな素材に

YONOMORI DENIM

アパレル業界への興味と疑問を故郷の復興に重ねて

サッカー少年からファッション業界に転身

富岡町を後にしたのは、小林 奨さんが15歳のとき。東日本大震災による全町避難指示を受け、福島県内を転々としたのち、遠く山梨の高校で学びました。
「もともとファッションに興味があったので、高校卒業後は服飾の専門学校へ。服作りが好きだったのはもちろんですが、アパレル工房を福島に開くことで新たな雇用や観光資源を生み出したい、という思いがその頃からありました」
 自らの工房立ち上げを夢見て技術を磨き、資金を蓄えるうち、アパレル業界の現在に深く根付いた大量生産・大量廃棄の問題をどうにかしたい、と考えるようになった小林さん。そして彼は、廃棄デニムの再生に真っ向から取り組む「ヤマサワプレス」の山澤亮治さんとの出会いを通し、『YONOMORI DENIM』を着想したのです。「ヤマサワプレス」がロサンゼルスで買い付けたリーバイスの501。これらはすべて、破れや汚れがひどい廃棄前提のもの。しかし、オリジナルの洗剤で洗うことで汚れもにおいもきれいに落ちるのです。

ヤマサワプレスのオリジナルブランド「One-o-Five」。リーバイス501のアップサイクルアイテム
フロアには大量生産・大量廃棄への問題を突きつけるオブジェも

モノを再生して使い継ぐとともに、技術の継承も

ボトムスだけではなくライダースなどのトップスやバッグにも再生

『YONOMORI DENIM』の工房&ショップには、古着特有のあのにおいがありません。山と積まれた501は、これから小林さんの手によって解体され、新たなデザイン、新たな縫製が施されて生まれ変わります。個々に異なる色褪せや擦れが味わいとなり、唯一無二のアイテムになるのです。
「素材を見た瞬間に、“ああ、このデニムはこうしたら活きる”と完成形が頭に浮かぶんです」
 いくつものデニムを縫い合わせるミシンも、革靴づくりの職人さんから譲り受けたヴィンテージ。
「この“縫う”という技術も、このままいけば廃れてしまうかもしれない。手縫いも含め、伝承していきたいと思っています」
 現在、ショップには「ヤマサワプレス」のブランドである「One-o-Five」のアイテムと、小林さんオリジナルの「YONOMORI DENIM」とが共存。被災地である富岡町の復興の様子を発信しつつ、ここが新たな集いの場となれるよう、イベントやワークショップも企画中です。

さまざまな風合いのデニムは新たな価値を吹き込まれて店内に並ぶ
使い込まれたデニムが唯一無二の素材となる

YONOMORI DENIM
小林 奨さん

服飾専門学校のファッションプロデュース科に学び、卒業後はアパレル会社に勤務。2019年からは工房の立ち上げを目指しいわき市にて働き、2023年11月に『YONOMORI DENIM』を創業しました。

YONOMORI DENIM

  • 住所福島県双葉郡富岡町本岡字清水前122-17
  • 電話0240-41-9011
  • アクセスJR夜ノ森駅より徒歩で約5分
  • 営業時間平日 14:00~19:00 (予約制)  土曜・日曜 11:00~15:00

RaFand(ラファンド)

  • 住所福島県双葉郡富岡町大字本岡字清水前399
  • 電話0240-25-8615
  • アクセスJR夜ノ森駅から徒歩で約5分
  • 営業時間11:00~14:30(L.O.14:30)、17:00~21:00(夜は完全予約制)
    定休日:土曜・日曜

周辺のスポット

起業、地域活性化の他のスポット#起業#地域活性化

モデルコースmodel course

share

もっと福島を見たい、知りたい方は