- SDGs×食×復興を知るふくしま旅
- いわきワイナリー ノーマライゼーションな産業と暮らしを求めて
阿武隈山系の峰々を望む、なだらかな丘。秋になれば金色の葉と凝縮したぶどうの実とが甘い香りを広げるでしょう。ハンディキャップを持つ人たちの歩みに合わせて、環境やぶどうを美しく映すワインづくりを続ける「いわきワイナリー」。9年目の熟成の姿に出合います。
@ガーデンテラス&ショップ
福島県いわき市好間町中好間字半貫沢34-72
@醸造所
福島県いわき市好間町上好間字田代11番8及び66番1
ハンディキャップを持つ人々の雇用支援と新たな産業の創出を叶えた確実なステップに学びましょう。
いわきワイナリー
社会幸福を願う気持ちを源に、新たな産業を興す
はじまりは、2種類のぶどう。ハンディキャップを持つ人々の就労支援施設を運営する今野 隆さんが、「自然のリズムと共存するぶどう栽培やワイン醸造は、彼らの暮らしや働くリズムとも相性がいいのでは」と広野町にカベルネ・ソーヴィニヨンとマスカット・ベーリーAの苗を植えたのは2008年でした。翌年には本格的にぶどうの栽培を始め、さらに翌年の2010年にはいわき市好間町田代の畑にシャルドネとメルロー、マスカット・ベーリーAを定植。東日本大震災によって広野町でのぶどう栽培を断念するというアクシデントにも見舞われましたが、新たにいわき市大久農園を拓き、2013年には委託醸造にてマスカット・ベーリーA単種の初ヴィンテージを完成させます。そして2015年、ワイン醸造免許を得て初の自家醸造。「いわきワイナリー」の本章が始まったのです。
数々の国際的コンクールでも高評価
現在「いわきワイナリー」では、年間で約20のワインを醸造。ストックヴィンテージや地場産の梨で作ったスパークリングなどを入れれば、約30アイテムがショップに並びます。
「いま自社栽培しているぶどうは、マスカット・ベーリーA、ピノ・ノワール、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ヤマソービニオン、シラー、富士の夢、デラウエア、甲州、シャルドネの10種。年によってもぶどうの味わいは変わりますし、醸造法によっても異なる個性を発揮します。2021年のピノ・ノワールはやや淡いけれどお刺身などの和食とも相性がいいですし、数年後には良い変化が現れるかも、と期待しています。甲州はオレンジワインとしても造っていて、樽熟をかけたものとかけていないものを飲み比べるのも楽しいですよ(四家麻未さん)」
ガラスカウンターに並べられた十数本のボトルは、1杯300円~500円でティスティングが可能。畑の個性とぶどう品種の個性とを大切に、忠実に造られた味わいは、眼の前に広がるいわきの風景と美しく共鳴していました。
いわきワイナリー
マネージャー 四家麻未さん
父である今野 隆さんの理想を共にかなえるため、認定NPO法人みどりの杜福祉会に入社。
「今年はどんなワインを造ろう、このぶどうはどんなワインになるだろう。家族でそんな相談をしながら、その年のワインの方向性を考えています。あまりとんがったものにはせず、誰が飲んでも素直に“おいしい”と思えるような味わいを造りたいですね」
醸造所
- 住所福島県いわき市好間町上好間字田代11番8及び66番1
- 電話0246-27-0007
- アクセス常磐自動車道 いわき中央ICから車で約5分
- 営業時間8:30~17:00