えこえね南相馬研究機構農家を救う太陽光発電

立体的に配置された太陽光パネルと農地が光を分け合うソーラーシェアリング

農地に設置された太陽光パネルが光り輝くソーラーシェアリング。農業をしたいけれどできない、作っても売れない──原発事故で大きな被害を受けた農家を救う試みとして稼働しています。

@えこえね南相馬研究機構
南相馬市原町区橋本町1-3-2 西棟1F 南相馬除染研究所

太陽光発電の可能性と、それが農業にメリットもたらす仕組みを学べる。

えこえね南相馬研究機構

農業を継続する術を探って

発電した電気はリアルタイムで送電され、高橋さんは発電量などの状態を遠隔から確認する。

代表理事の高橋荘平さんの父、高橋亨平さんは産婦人科医で南相馬の多くの市民と関わりがありました。福島第一原子力発電所の原発事故以後、放射線の不安から町と子どもたちを守りたいという思いで「南相馬除染研究所」を設立。荘平さんは父にかわって仲間と市内や家屋の線量を10年間測定し続けてきました。

その活動において、作付け制限や風評被害で活力を失っていく農家を目にします。

「3年ほどまるで住めず、米さえつくるなと言われた地域です。『売電』という形であれば、基幹産業である農業を継続できるのではないか」。そう考えた高橋さんは、2012年9月に「えこえね南相馬研究機構」を発足させます。

自分たちの作った電気で農業に付加価値を生みたい

目的はソーラーシェアリング。農家と協力し、農地に支柱を立てソーラーパネルを設置し、太陽光発電しつつ、下では作物を育てる半農半電。パネルと農地で光を分け合うことで、農地の収益を上げるシステムです。2015年以来、50kW未満で低圧連系する発電設備が現在8か所。

「今はすべて売電で収益を上げていますが、たとえば、ここで作った電力でEV化したトラクターを動かしたりするようなことができるのが理想です。作物にそうした付加価値がつけられるようになればと思うんです」

エネルギーの自給、省エネ、豊かな暮らしとは何か──こうした取り組みをみんなで考えることで、新しい町づくり、復興に繋げたいと高橋さんは考えています。

えこえね南相馬研究機構
代表理事 高橋荘平

原発は大きな事故でしたが、原発の是非を語ることにはプラス面もマイナス面もあります。原発はいらないというより、自分たちができることで外に頼らないエネルギーができればいいよね、という感じなんです。実際ここには原発に関わる人も多いので、原発はダメだという話になると、一緒にやれる可能性のある人が一緒にやれなくなってしまう可能性もある。私たちの考える再生可能エネルギーは農業を再生するための一つの道具なんです。

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